初夏のウグイス
2000.7.1



6月××日。今日も雨だ。この時期は晴れても何日も続かない。やはり昨日のうちに花取材に行っておくべきだった・・。雨の中、裏山の林でウグイスが鳴いている。いつもこの時期か、もう少し早いころから鳴くのだが、今年も例のあの鳴き方だ。

「ウグイス」といえば、子どもの頃育った東京・杉並の家でも、春先その美声を聞くことができた。それと、夏に信州の山の中でウグイスの声を聞いて感動した記憶がある。そうか、ウグイスは夏は山で鳴いているのか…。「梅に鴬」という固定観念はどこから来たものなのだろうか? 私の場合、案外「花札」あたりかも知れない。(^-^;)

豊橋にいた15年間は、町中に住んでいたこともあって、ウグイスの声を聞いた記憶はない。もっとも当時は草花や鳥などにあまり興味を持たない生活をしていたせいかも知れないが…。

7年前鎌倉に引越してきて、初夏から夏にかけてウグイスがよく鳴くのに驚いた。誰もいないお寺の境内でウグイスが時折「ホー・ホケキョ」と鳴くと、いっそう静寂を感じたりする。思わず「100点!」と呼びたくなる瞬間だ。春先、里で鳴いていたウグイスも夏には山に行く。なるほど、鎌倉はちょうど里と山を合せ持っている地形なんだ…。

梅に鴬  6月の鴬?

さて、我が家は小高い山の中腹に立っている。裏も表も林に囲まれており、鳥や蝉達とはおなじみだ。初夏の頃になるとウグイスの声が聞こえてくる。しかし、このウグイス達、「ホー・ホケキョ」とは鳴かず、実に鳴き方が下手くそなのだ。耳をすませて聞いていると、だいたいこんなふうである。

   ホーケキョ
   ホーホケッ
   ホーケキョケキョ
   ホーケッ

時折、ケキョ・ケキョ・ケキョ…と鳴くのもいる。まるで鳴き方の練習をしているようだ。なかなかホー・・ケキョのの「タメ」ができないようにみえる。楽器でもそうだが、一瞬の「間」を取る「タメ」を会得するのは難しいのだろうか? …と、何度も繰り返すホー・ホケキョもどきの鳴き声に「お稽古中の子ども」を連想していた。が、調べてみるとどうもそうでもないらしい…。

ウグイスは大まかに言って三つの鳴き方があるそうだ。一つは誰もが知っているホー・ホケキョ。これは春先にオスがメスを呼ぶ時の鳴き方だ。二つ目は谷渡りと言って、ケキョ・ケキョ・ケキョというするどい鳴き方。これは警戒音と言われている。もう一つは、チャッ・チャッという鳴き方で、冬に里に降りてきたウグイスはこう鳴いているのだそうだ。

すると、うちのウグイス達のホー・ホケキョもどきの鳴き方は何になるのだろうか? 恋を呼んでいるのか、谷渡りなのか、はたまた練習中なのか…。ますます分からなくなってしまった。

と言っても、必ずしも季節によって鳴き方が決まっているものでもないらしいし、上の三つの鳴き方にも色々なバリエーションがあるようだ。Webで検索していたら、ウグイスの名前もその鳴き方から地方によってさまざまな呼び名があるという。ほかにもうぐいす一覧1996年という鳴き方の観察記録も面白かった。興味のある方はご覧いただきたい。

一人静  
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