トラックボールの復活
2000.6.1



ノートパソコンのユーザーが増えている。二台目のパソコンをノートにする人ばかりでなく、メインマシンを最初からノートにする人も増えてきた。A4薄型は売れ筋のようで、中古でも結構な値段がついている。薄型が好まれる割には、モバイルしている人は少ないようだが…。

Dynabookさて、ノートパソコンではマウスに代わるポインティングデバイスとしては、ThinkPad(IBM)やDynaBook(東芝)などのおヘソ(写真右)を別にすると、主流はタッチパッド(写真下)だ。

VAIO タッチパッドは、指で表面を滑らせてポイントの位置を決めるのだが、慣れないと何とも使いにくいものだ。最も器用な右手人差指でやってもなかなか思うように止まってくれない。大抵の人は諦めてマウスをつけているようだ。しかし、デスクの上で使う分にはそれでもよいが、モバイル時にはどこで使うことになるか分からない。膝の上で使うにはマウスは邪魔でしかない。その時はタッチパッドで…と思っても、普段使い慣れてないものを急には使えずイライラした経験のある方も多いかと思う。

ところで、私は普段はデスクトップを使っているが、持ち歩くノートパソコンはPanasonicのLet's note(AL-N2T520J5)を使っている。'98.3に買ったもので、CPUはMMX 200MHz、RAM 64MB、HDD 2.1GB、サイズはB5、重量約1.5kg、OSはWindows95だが、出先で使うだけだから全然これで不自由はしないし、バッテリがダメになって買い替えた以外はノー・トラブルで今まで来ている。

Let's noteは「軽いサブノート」という意味では先駆けだが、'98.3頃といえば、超薄型のVAIO(SONY)が人気商品になりつつあった頃だ。両者は重さも同じくらいで、店頭でも並んで張り合っていた。Let' note 軽いマシンがほしかったが、敢えてLet's noteにした理由は、VAIOよりキータッチがよかったことと、ポインティングデバイスが光学式トラックボール(写真右)だったことが大きい。

写真のようにこのマシンはマウスの左ボタン・右ボタンに当るものがボールを挟んで縦についている。ボールの上にあるのがマウスの左ボタン、下にあるのがマウスの右ボタンに当る。最初は「えっ」と思ったが、使ってみると違和感ないことが分かった。

使っているうちに、指の守備範囲は自然と次のようになった。キーボードはホームポジションを基準として各指の受け持ちは通常のとおりだが、私はスペースキーは元々右手親指で打つ習慣がある。従ってスペースキーに近い上のボタンは右手親指の受け持ちとなり、キーボードではあまり使わない左手親指がトラックボールと下のボタンを受け持つことになった。

こうしてみると極めて快適に使える。人差指から小指まではすべてホームポジションに置いたまま、ポインティングデバイスを操作することができるのだ。右利きの私としては左手親指はそう器用な指ではないが、それでもトラックボールを操作するには全然不自由しない。最初つけていたマウスも要らないことが分かり、膝の上でモバイルすることも容易になった。

ところで、ここ2年、VAIOの影響か他社のノートパソコンもどんどん薄型化している。あのごついDynaBookも薄型モデルが出てきたほどだ。Let's noteも当然のように薄型化し始めた。と同時に、あのトラックボールが消えたのだ!

確かにトラックボールは直径19mmもある。薄型化には邪魔な存在だろう。私のLet's noteは厚さ39mmもある。新しいスリムなノートマシンの中に入ると、一つだけゴロンとしていて何とも不細工というか、可愛いというか…。

それにしても、トラックボールはLet's noteの大事な「ウリ」だったはずだ…。みてくれを取って大切な操作性を捨てるのは解せない…。世の人が外観でパソコンを選ぶんだから仕方ない…。等々、私の周辺でもよく話題になっていた。が、トラックボールはもうなくなるのかなあ…と誰もが思っていた。

そんな折、5月23日、Panasonicはこの夏の新機種を発表した。その中のB5サブノートに何とトラックボールが復活したのだ。直径16mmとやや小ぶりにはなっているが、まぎれもないあのトラックボールが採用されている。(製品情報

これはビッグニュースだ。聞くところによると、古くからのLet's noteファン(ボールファン?)がホームページ上で署名を集めてメーカーに要望を出したりしていたという。メーカー側もそれに応えて今回の復活につながったのだそうだ。なかなかいい話ではないか。他メーカーのマシンに比べて少々高目なのが気にはなるが、願わくばこのマシンが売れてほしいと思っている。

一人静  
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