ヒトリシズカ発見!
2002.4.15

今やめったに会えないカタクリ春になって山にも里にも次々と花が咲き出した。道を歩いていてもつい花に目が行ってしまう。あ、こんなところにこんな花が咲いていたのか! 何年も通っているはずの道端に今まで知らなかった野草を見つけることも少なくない。もちろんシャッターチャンスを逃さないようにデジカメはいつも携帯している。以前は木ばかり見て歩いていたが、花ページに野草コーナーを設けたこともあって、近ごろは下を向いて歩く癖がついてしまった。

最近は「雑草」という言葉を聞かなくなった。道端の草も「野草」と呼ぶ。「踏まれても踏まれても伸びる雑草のように・・」を「野草のように・・」と言い換えてしまっては変だが、とにかく道端の名も無い草も一人前の市民権を与えられたのだろう。確かに、デジカメのマクロ撮影ができるようになって、ナズナハコベホトケノザなど、どこにでもある小さな花達がきれいなのに驚いた。

野草ファンは年々増えている。立派に咲かせた牡丹、菊、蘭よりも、野山にさりげなく咲く野草が好きという人も多い。カタクリなどは特に人気が高いが、心ない人による盗掘のせいか山でも激減しているようだ。昨年、奥三河の山村で図らずもカタクリの群生に出会えたのは本当に幸運だった。

さて、カタクリに劣らずヒトリシズカもめったに出会うことのできない花だ。「一人静」と名乗っている以上、いつかは撮らねばと思っていたが、花を撮り始めて4シーズン目、その間一度も見たことがなかったし、敢えて探してもいなかった。静御前は鎌倉が嫌いだから、鎌倉では咲かずに吉野へ行って咲くのかも・・?

しかし、出会いはいとも簡単にやってきた。最初に見つけたのは何と自他共に「花音痴」を認める夫であった。「こっちに珍しい白い花が咲いているよ」「えっ? どれどれ? あっ、これ、ヒトリシズカ!!!」

 
咲きはじめは花穂が葉にくるまれている。この姿が可愛い。

クヌギやキブシが生えるちょっと暗い林の縁、ササの葉の繁る落葉の中を見回せば、そこら中に咲いているではないか! 半信半疑だったが、踏まないように忍び足で歩き回った。「ヒトリシズカは名前に反して一人で咲くことはなく、必ず群生する」と言われるが、そのとおり。二、三人で固まって咲いているものから、十五人家族のものまで、十数箇所に咲いていたのだ。

 
葉が広がるにつれ花穂が現われる。
花弁はなく、3本の白い雄しべがワンセットになって水平に広がる。

そこは我が家からさほど遠くない鎌倉市のはずれである。意外や意外、鎌倉にもヒトリシズカが咲いていたのだ! こんな所に咲いているはずはないという先入観は間違いだった。探してみるものだ。家の周辺には似たような林が何箇所かあるが、中に入れるところは少ない。あのヒトリシズカ達が本当に自生なら他にもどこかで咲いているはずだ。以来、似たような林を見る度に、「この林の所有者は誰だろう? 入れてもらえないものか?」と気になって仕方がない。

なお、偶然出会ったヒトリシズカの自生地、そこがどういう土地か(公共の土地か、個人の所有か?)分からない。場所の公開は敢えて控えさせていただくことにする。荒らされることなく来年も、また再来年も咲き続けてほしい。


大家族のヒトリシズカ。同じグループでも草丈がずい分違う。

最後に、ある人曰く「この草も、盗掘で数が激減しているみたい。花も綺麗だが、名前が良すぎるのも考え物だ。シラガノハナゲくらいにしたら、こんなに盗掘されただろうか?」

う〜む。妙案かも・・。(^^;)

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