2006.02.28
冬芽の観察ポイント例
近縁種は一般的には冬芽も似てることが多いが、同じ科同じ属に分類される木同士でも全然違ってることもある。よく似てる場合も探してみると微妙に違うところがあり、決定的なポイントを知っていると木の同定に役に立つ。
↓はマンサク科フウ属のフウとモミジバフウ。どちらも外来種で紅葉がきれい。街路樹などによく植栽されている。葉の切れ込みを見れば、どちらかはすぐ分かるのだが、葉がなくても冬芽の光沢で区別がつく。モミジバフウの芽鱗は無毛で光沢があるのに対し、フウの芽鱗には毛が生えていることから白っぽく見える。
フウとモミジバフウ(マンサク科フウ属)
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▲フウ |
▲モミジバフウ |
↓はいずれもナツツバキ属に分類されるナツツバキとヒメシャラ。冬芽を見ると、ヒメシャラは何枚かの芽鱗が重ね合わさって層になっているが、ナツツバキは芽鱗の数が少なく層にはなってない。
ナツツバキとヒメシャラ(ツバキ科ナツツバキ属)
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▲ナツツバキ |
▲ヒメシャラ |
↓はいずれもトチノキの仲間である。在来種のトチノキは芽鱗が樹脂でべとべとしている。寒さや乾燥、また虫から芽を守るためだろうか? これに対して、セイヨウトチノキ(マロニエ)はべとべとが少なく、アメリカアカバナトチノキは樹脂を全く出さないようだ。
トチノキの仲間(トチノキ科トチノキ属)
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▲トチノキ |
▲トチノキ |
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▲セイヨウトチノキ |
▲アメリカアカバナトチノキ |
↓はミズキ科ミズキ属に属するミズキとクマノミズキだが、同じ属の木でありながら、これほど冬芽が違うものも少ないのでないだろうか。ミズキは鱗芽であるのに対し、クマノミズキは裸芽である。両者は葉も花もよく似ていて、「ミズキは互生・クマは対生」で見分けないと分かりにくいぐらいだ。でも、冬の姿は全く違っているのが面白い。ミズキもクマノミズキも鎌倉にはとても多く、あちこちで幼木に出会えるのも嬉しい。
ミズキとクマノミズキ(ミズキ科ミズキ属)
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▲ミズキ |
▲クマノミズキ |
春が近い?と思うと、今日はまた冬に逆戻り。明日は雨のようだ。そして、明日から3月! 冬芽の話題もそろそろ芽吹きへと移っていきそうだ。
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