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2006.06.21
散在ガ池のイワタバコ

イワタバコは鎌倉の気候、やわらかい鎌倉石でできる岩壁など、鎌倉の風土に合っているのか、この時期あちこちで可憐な花を見ることができる。
イワタバコを見に、久しぶりに散在ガ池森林公園に行くことになった。鎌倉湖とも呼ばれる散在ガ池は、元々は明治初期に作られた灌漑用の池だったようだが、後に改修され写真のような小さな湖になっている。この周りの尾根道と湿地は自然豊かな散策路で、稀少植物や野鳥の観察もできる貴重なスポットだ。

散在ガ池(鎌倉湖)

さて、イワタバコは咲いていた。せせらぎの小径に切り立つ岩壁は常に水が滴り落ちているが、そんな岩壁にイワタバコは密生している。「密生している」と言っても、自然のままなのでそんなに密度が高い訳ではない。お寺などで人の手が入ったイワタバコの密生を見慣れてしまうと、こっちが「疎ら」に見えてしまうかも知れない。が、この「間隔」が楚々とした野の花の可憐さをいっそう増しているようにも感じられた。

今日は曇り空、ただでさえほとんど日の入らない森の中はいっそう暗く、あまり近づけないこともあって写真はもう一つだった。300mmレンズ(実質480mm)でISO感度を上げて(もちろん三脚使用で)撮った何枚かを掲載しておこう。
せせらぎの小径ともう一箇所尾根道に向かう岩壁に咲いていた花たちだ。

▲こんな苔生す岩壁に生えている







なお、鎌倉のイワタバコは、正確に言うと茎などに毛の多い「ケイワタバコ」だ。「イワタバコ」が普通花期が7月なのに対し、「ケイワタバコ」は6月に咲く。しかし、語感も悪いので敢えてわざわざ「ケイワタバコ」と呼ぶのはやめておこう。
だいたい「イワタバコ」という名前も気に入らない。葉がタバコに似てるからだそうだが、こんな可愛い花にはもっとふさわしい名前がありそうなものだ。

そう言えば、何年か前、東慶寺の岩壁の前でイワタバコの花を撮っていたら、近くにいた女性に「これ、ヒトリシズカですか?」と尋ねられた。一瞬「え?」(何で私にそれを聞く? ^^;)と思ったが、「イワタバコ」と教えてあげると、「タバコですか・・」とがっかりされたようだった。「ヒトリシズカとイワタバコ」、名前で得してる花と損してる花かも知れない。ましてや、「ケイワタバコ」とはね。(ーー;)


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