蕪島のウミネコ
2001.6.15

6月7日 雨。青森県八戸市を訪ねる。角館、弘前…と来たみちのくの旅も今日が最終日である。あいにくの天気だが、駅まで迎えに来てくれたY君の案内で蕪島へ。約20分のドライブだ。

蕪島への入口

蕪島は「島」とはいえ今は陸続きで、山の上には蕪嶋神社がある。この島はウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている。ウミネコはカモメの仲間だが、飛んだ時に尾羽に黒い帯があるのが特徴だそうだ。毎年3月になると約3万羽のウミネコが蕪島にやってくる。毎年帰ってくるウミネコのほとんどが同じつがいで戻ってくるそうだ。最近の調査によれば、島に来るウミネコの平均年齢は12歳で若鳥は少ない。最年長は23歳であったという。

4月中旬から巣作りが始まり、下旬から産卵に入る。1巣あたり2個の卵を持つ巣が一番多いそうだ。卵の大きさは鶏卵よりやや大きく、表面にはウズラの卵のような模様(保護色)がある。5月は抱卵期でオス・メス交替で約25日続けられ、5月下旬から6月にかけてふ化が始まる。

訪れた日は、ふ化したヒナがそこら中によちよち歩いているかと思えば、一方では親鳥が真剣な眼差しで卵をあたためていた。人が近づいても脅えたり攻撃してきたりする様子もなく、ひたすら子育てに勤しんでいる姿が印象的だった。

それでは早速写真をお目にかけることにしよう。

[写真をクリックすると拡大写真が見られます。]
人間に慣れているウミネコ達。蕪島の前に着くと早速何羽か飛んでくる。車の屋根に止まったり、毛づくろいしてお出迎え??


島一面、ありとあらゆるところにウミネコ達が棲み着いている。ほぼ等間隔に止まっているのが面白い。4月の巣作り期にはなわばり争いが熾烈のようで、なわばりの広さは1m2ぐらいだそうだ。


冷たい雨の中、親鳥が卵を抱いている。メスが抱くことが多いようだが、時にはオスも抱く。見たところオスとメスは区別がつかないが、オスの方がやや大きいという。神社の境内におかれた巣箱をちゃっかり占領しているものもいれば、よい場所を取れなかったドヂな(?)ものもいる。ふ化率は約70%だそうだ。


ふ化して何日も経ってないヒナ達。雨に濡れながら親鳥の帰りを待つ。ヒナはふ化後約5週間で巣を離れ、その後は幼鳥集団を作って生活するという。巣立ち率は産卵数の約30%で、主な死亡原因はなわばり争いによるものといわれる。人間には慣れているように見えるウミネコ達も生存競争は厳しいようだ。


“動物の親子”という絵本を作りたくなるような光景だ。可愛いしぐさはいつまで見ていても見飽きないが、こういう生活もたった5週間、束の間の子育てだ。幼鳥は親鳥と違って黒っぽい。美しい成鳥になるまでに3年かかるという。


そんなところに止まって、キマッテルね、君達。ハイ、シャッター押しました。ありがとう! お礼に君達の姿を世界中から見られるようにしてあげるね。(^-^;)


7月に幼鳥が巣立つと、8月、一部蕪島に留まる鳥を除き、大部分はサハリン付近まで北上してゆく。秋から冬にかけては関東、関西、さらに九州まで南下し、そして来年の3月、再び同じ夫婦で島に戻ってくる。

みんな、元気でね! また来年おいでよ〜!

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